第36章 苦き夢と甘き現(徳川家康)※閲覧注意
家康は御殿の奥の部屋に、
忍とともに向かう。
そこはいつも家康が、
眠るときに使う閨だった。
家康は閨にしかれている褥の上に、
忍を起こさないように、
そっとおろす。
忍は硬い畳の上から、
柔らかい布団の上に、
寝る場所が変わったからか、
その顔はさらに無防備になっていた。
家康「だらしない顔」
家康はそんなことをぽつりと漏らすと、
再び忍が目を覚まさないか、
確かめるかのように、
忍の名を呼び、
その頬に触れる。
忍「んんっ・・・」
忍は身じろぎをするが、
まだ夢の世界にとどまったままである。