第34章 酔う(伊達政宗)
その固まりは、
忍の口の中で溶け、
独特の甘みと苦みが広がる。
忍「え・・・これ、
チョコレートですか?」
信長「ちょこが何かは詳しくは知らないが、
まあそういうものだな。
貴様の友人の忍びが少し前に来てな。
差し入れとかで、
貴様の世の甘味をよこしてきた」
忍「佐助君が・・・」
信長「その時に貴様の上の男もいてな。
一粒与えたのだが・・・」
信長が珍しく言いよどむ。
忍も信長の、
言いたいことは分かっていた。
忍「これお酒、
入っているんです・・・」
信長「だろうな。
さすがの俺も、
まさか甘味に入っている酒で、
酔われるとは思わなんだ」
忍「酔ってたんですね。
政宗・・・」
信長「そういうことだ。
俺の不始末だ。
俺の部屋でまぐわったことは不問とする。
秀吉にはくれぐれもバレるな。よいな?」
信長の言葉に、
忍は黙って首を縦にふる。
政宗が起きるまで・・・
あとどれくらい・・・?
おしまい