第32章 兄の皮をかぶった狼(豊臣秀吉)
ある日のこと
秀吉「(何だこれ。
何だこれ・・・)」
秀吉は自分の御殿で、
呆然としていた。
秀吉の手は毛でおおわれ、
爪が出ていた。
脚も毛でおおわれている。
何より言葉が話せず、
二足歩行ができないということが、
秀吉を焦らせていた。
部屋に置いていた姿見を覗いて、
秀吉はさらに呆然とする。
秀吉「(何だこれ・・・)」
そこに映っていたのは・・・
一匹の茶色い犬だった・・・
秀吉「(犬・・・だと・・・)」
猿と呼ばれることはあるが、
犬といわれたことなどない。
なんで自分が犬に・・・
秀吉は姿見に映る犬は、
自分ではないと、
否定をしたかった。
だが、秀吉が手・・・
ではなく前足をあげると、
姿見に映る犬も、
前足をあげていた。