第25章 初めの絆(毛利元就)
一軒の飯屋に、
男はふらりと立ち寄った。
男「お、やってる?」
忍「やってるよ。
お兄さんお侍さん?」
男「まあそんなところだ」
忍「お兄さんに満足できると、
いいんだけど・・・」
忍はそういうと、
お品書きを男に手渡した。
男はお品書きをふんふんとみると、
注文をした。
やがて運ばれてきた料理に舌鼓を打つ。
しばらく男は店にいた後、
やがて腰をあげ、
金をいくらかおいて店を後にした。
男「美味い店に綺麗な女。
いいねえ・・・また来るぜ」
忍「あ・・・ありがとうございました」
忍は、
そう返すのがやっとだった。
男はその言葉通り、
店に何度も訪れた。
やがてお互いの顔と名を知るほどになる。
だが肝心の元就の素性は、
忍に明かされることはなく、
客の侍さんと飯屋の娘といい関係のままだった。