第18章 交換留学?SIDE安土(光秀の章)
事後
光秀は、自分の横で、
のんきに眠る忍を見ていた。
その顔は幸せそうで、
とてもあのような騒ぎがあったことなど、
微塵も感じられなかった。
光秀はそのまま視線をそらすと、
どこからか一つの丸薬を取り出す。
それはある可能性があった時の、
保険のようなものだった。
恋の秘薬というのに嘘はついていない。
だがそれはよいことばかりではない。
望まないものが記憶を残し、
望まない男のややを宿した、
という例もなかったわけではない。
光秀が持つそれは、
その可能性を消す薬だった。
光秀は自分の口にその丸薬を放り込むと、
いまだ眠る忍の口に、
口づけという形で、
口写しをしようと顔を近づけた。
しかし・・・
忍「光秀さ・・・大好き・・・」
忍がもらしたその言葉に、
光秀は驚き、
丸薬を思わず飲み込んでしまう。
光秀「・・・っ」
その薬は男が飲んでも、
影響はあるものではない。
だから光秀が慌てたのは、
そこではなかった。
忍の寝言は、
意味などない無意識のモノだ。
だが忍の放ったその言葉は、
たしかに光秀の何かに当たっていた。
光秀「ああ・・・毒を食らったのは、
俺の方だったか」
光秀のそんなつぶやきは、
静かに夜の帳に消えていく・・・
そしてこんな騒ぎも夜の帳に消える・・・
はずだった・・・
光秀END