第2章 男嫌いと女嫌い?(上杉謙信)
女「・・・戦いが好きな人だって聞いています」
謙信「戦いか・・・
嫌いな男などあまり聞かんがな」
女「お酒も好きだって聞きました」
謙信「それも嫌いな男は、
あまりおらんと思うが・・・?」
女「・・・すぐ刀抜くそうです」
謙信はこの辺で女の言い方に、
あることがよぎり始めた。
謙信「それで?」
女「刀で追い回す怖い人だって・・・」
謙信「・・・・・・」
女「軍神って呼ばれるくらい強い人・・・」
謙信「(目の前にいるのが、
お前の縁談の相手だと知ったら、
この娘はどう思うだろうな)」
謙信は興味深げに女を見ていた。
女「強い人だから・・・
戦で死ぬ心配など、
無用な相手なことなど分かっています。
でもそんな人・・・私は怖い。
それに・・・」
謙信「それに?」
女「その人女嫌いだって聞きました・・・
長いこと女を近づけていないことも・・・
そんな人を誰が夫になどできましょうか・・・
愛すことも愛されることも許されない。
そんな結婚など私は嫌です」
謙信「・・・すまないな」
謙信は女の涙に、
ただそれだけをつぶやいていた。