【B-PROJECT】(完結)あなたの瞳に永遠を誓います
第70章 初恋の終わり方
「なまえ?」
百くんの声が聞こえて無意識に自分の足が動いていることに気づいた。
頭の中はぐちゃぐちゃなのに歩くスピードは次第に速さを増していく。
「やめてください!」
その場に辿り着くとそのまま彼女に対峙した。
「またあんた?」
「え......覚えててくれたんですか?」
見上げた顔は不機嫌そうで余程嫌われてるみたいだ。
でもどうしてこんなに嫌われてるんだろう?
「あなたはただの仕事仲間でしょ?」
「俺は大丈夫だから戻ってて。ね?」
増長さんが私に触れないように前に出た。
ずっと考えてた。
彼を好きな気持ちをどうすれば良いか。
私はあの日からずっと......彼に触れたくて......。
「いや、です......」
大きな背中にギュッと抱きつく。
「え!」
「は!?」
彼と彼女は驚いている。
「あんた自分が何してるか分かってるの?A&Rが担当アイドルに特別な感情なんて許さ「いいです!」
自分でも大きな声が出たと思う。
彼を見上げて胸元を掴むとうんと背伸びをした。
ちょっと......届かない。
その様子に気付いて増長さんは戸惑いながら顔を寄せてくれる。
「どうしたの?」
その言葉を飲み込むみたいにそこに口付けた。
顔を離せばポカンとしている彼と目が合う。
隣を見れば顔を真っ赤にした彼女。
「何してんのよ!」
大きな怒鳴り声が聞こえて私は彼に抱きついてそちらを真っ直ぐ見つめた。
「彼の恋人は私です。もう彼に近づかないでください!」
勝手なことをしてしまった。
増長さんの気持ちなんて全く無視で騒ぎにしてしまったかもしれない。
見上げると増長さんが微笑んでくれた。
「そういうことだからごめんね」
「でも私の方が可愛いしスタイルだっていい。この子で本当に満足できるの?」
「満足?」
意味が分からなくて首を傾げる。
どういう意味?
「俺はこの子じゃないと触りたくないし大丈夫。誰よりも一番可愛い」
顎を掴まれるとそのまま顔が近づいた。
えっ......?
「バカにしないで!」
怒鳴った彼女は嵐のように去っていった。