【B-PROJECT】(完結)あなたの瞳に永遠を誓います
第66章 届けたい、この想い
「一緒に歌おう!」
キラキラした笑顔を向けてくる増長さん。
歌う......?
「誰と......?」
「みょうじさんと!」
「わ、わたしと......?」
「いいから、来て!」
「ちょっ、待ってください!」
その声も虚しく、手を引かれるといつの間にかステージに上がっていた。
「聴いてほしい曲があるんですけど、剛士とのデュエットを見てて......この曲は彼女と歌わせてもらっていいですか?」
会場のみんなは同意してくれるけど、私の脳内は『どうしよう』で埋め尽くされているだろう。
「彼女の様子を見ていただけたら分かりますけど、練習していなので広い心で聴いてもらえたら嬉しいです」
予感は的中で増長さんがフォローを入れてくれた。
私ってそんなに分かりやすいのかな?
『はーい』
『頑張れ!』
「私、歌える曲ですか?」
「多分......大丈夫かな?」
「ええっ!」
流れだしたのは彼のソロ曲。
『Daytime star』
「大丈夫?」
「はい、大丈夫です!」
その曲は歌詞もメロディーもすごく好きな曲で、彼の前で聴きすぎて『恥ずかしいから......もう許して』とお預けされた曲だった。
自然にワンフレーズずつ歌っていく。
サビは所々ハモって彼メインで。
やっぱり歌うのって......楽しい!
周りなんて気にせず夢中になって、あっという間に一曲終わってしまった。
再び歓声が上がった。
「ありがとうございました。どうでしたか?」
『本当に練習してないの?』
『息ピッタリだった』
「ありがとうございます」
「皆さんの応援のおかげで楽しかったです!」
皆がステージ上に上がってくる。
「この場を借りて、皆さんに大切なお話があります」
えっ?
そう紡いだ声は増長さんのもので、突然の報告に私達も驚きを隠せない。
なんの話をするのかな?
今更......声が出なかった話はしないよね?
記憶がないことを公表するとも思えないし。
戸惑っていると右手を握られる。
握った手は勿論だけど増長さんの手で......内心は大絶叫だ。