【B-PROJECT】(完結)あなたの瞳に永遠を誓います
第64章 理想と現実
振り向くと、そこに居たのは増長さんで......目が合えば彼は笑ってくれたけど、その顔はどこかいつもと違う気がする。
「さっきみたいなキスじゃなくて、恋人同士ならこれくらいのキスは普通だけど。ね?なまえ」
なるほど、何かを聞き出す為に......ここは話を合わせた方がいいよね。
「はい」
北門さんはこの人が彼女だってことを疑ってるのかな。
そちらを見ると、彼女は呆気にとられているみたいだ。
「はぁ......すごく嫌。嫌だけど、仕方ないから一肌脱いであげる」
小さな声がして、竜持くんを見つめた。
嫌だけど、仕方ない......?
意味が分からなくて、そちらをただ見つめる。
彼が取った行動に内心は大絶叫だ。
竜持くんが増長さんに......。
「カズはね、女の子は好きじゃないから」
キスした。
増長さんは勿論だけど北門さんも彼女も驚いている。
「あんた、何すんのよ!」
彼女がすごい勢いで竜持くんに詰め寄る。
結構、過激派!?
「待ってください!」
慌てて二人の間に入ると竜持くんの前に立った。
この人は危険だ。
「あなたには関係ないでしょ!」
「彼に......竜持くんに何かしようとするなら話は別です!」
とにかく、彼を守らないと。
背後に伸ばされたその手を慌てて掴んだ。
「離しなさいよ!」
「嫌です!」
だめだ、振り払われるーー。
私の手が離れる寸前、今度は増長さんがその腕を掴む。
そのまま扉の方に向かって行くけど、どこに行くのかな?
そのまま見ていると扉を開けて、
外に追い出した!?
「ちょっと、待ってよ!」
外からは大きな声が聞こえている。
どういうことーー?
『ありがとう。やり方はどうかと思うけど......助けてくれて』
そう唇が動くと、彼はそこを拭った。
「やっぱり、彼女じゃなかったんだね」
確かに......彼女なら追い出すとかしないよね。
増長さんの背後、扉の外はまだ騒がしいようだ。
「カズの為じゃないから」
竜持くん......やっぱり、私の為にしてくれたんだと思う。
『どういう意味?』
「別に」
椅子に腰かけると、竜持くんが肩にもたれかかってきた。