【B-PROJECT】(完結)あなたの瞳に永遠を誓います
第63章 まっすぐな恋心
「とにかく、頑張れ!なまえの人生を懸けて頑張れ!!」
「増長さんの良さは、顔だけじゃないんだけど......」
本当に失礼だな。
やっぱり、顔がいいからって......腹立つ!
「でも、本当に良かったな。増長くんに出会えて本当に良かったな」
むくれてそちらを見ていただろう私に、最終的には微笑んでくれた。
その大きな手で頭を撫でられたら、まぁいいかって。
なんだかんだで、応援してくれてるってことなんだろうな。
「あの泊まってくれた夜にね......色々聞いたの。どうしてなまえなのかって。だって彼なら選びたい放題じゃない?」
「分かるよ。お母さんの言いたいことはよく分かるよ」
その証拠に、私もずっとからかわれてるって思ってた。
彼の告白を知らず知らずのうちにスルーしてきた。
「彼ね『どうして好きかと聞かれたら困ります』って笑ったの」
「ええっ!」
困る?
特に無くて......困らせた?
「あれには笑ったな。面白かった」
「お父さん!?」
お父さんも愉快そうに笑ってるし。
でも、尋問に彼があっていたなんて。
本当に申し訳ない......。
「増長くんは......」
お父さんから聞いた内容は衝撃だった。
『強いて言うなら存在......全てが好きなんです。隣に居てくれるだけで頑張れて、同じ時に生まれて出会えて思い合えた。こんな幸せがこの世界にあって、人はこんなに幸せな気持ちになれるって......彼女が全部、教えてくれました。
生意気ですが......交際を認めてくれたこと以前に、なまえさんを産んでくれたことに感謝させてください。本当にありがとうございます』
驚くほど鮮明に、愛しい声で、口調で、再現される。
胸が苦しくて、喉が熱くて視界がぼやけた。
「でも泣かない!」
大きな声を出して慌てて上を向いた。
その様子に皆は驚いているだろう。
親に褒められたからじゃない。
お兄ちゃんの言う通り、私の人生には彼以上の人はいない。
そして彼の人生においても私以上はいないって、いつか胸を張って言いたい。
「決めたの!自分の力で彼ともう一度、思い合える日までは泣かないって。頑張るから見てて!」
その言葉に優しく微笑んでくれた皆は、
晴れやかな笑顔を浮かべていたーー。