【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第60章 決戦の日
『決戦の日』
きっと、こういう日のことなんだと思う。
「ふわぁ......失礼しました」
あくびをすると、そのまま伸びをした。
「昨日はあまり眠れなかったの?」
「はい。色々考えてしまって......」
とにかく、着くまでに気を引き締めないと。
早起きをして会社に向かうまでの道。
昨日までと同じ道なのに、なんだか違う様に見える。
きっと、心は踊って浮き足立ってると思う。
数日前。
「そうですね。やっぱり、違和感はありますからね。あの時は何も感じなかったので......はっきり言えずにごめんなさい」
例のスタッフさんにもう一度話を聞きに行った。
「確かJDCホールのライブの日。彼女もその場所に居たみたいよ。やっぱり、なまえちゃんのことを知っていたのね」
夜叉丸さんから新しい情報ももらった。
左利き、靴、髪型。
私を婚約者だと知る機会。
条件は全て揃ってる。
「あの人......ちょっと行って来ます」
「俺も一緒に......」
「だめです。ここで待っててください」
「でも......」
手を強く握られてるし、離してくれそうにない。
バッグで顔を隠して、唇めがけて近づいた。
あ......予想通り驚いてる。そのまま彼の手が離れた。
「それじゃ、見ててくださいね!」
後ろから名前を呼ばれたけど、そのままそちらに近づいた。
「おはようございます。加藤さんですよね?」
身長は確かにつばさちゃんと同じくらいで、黒髪に清楚な顔つきで美人系だ。
「私はみょうじといいます」
あからさまに嫌そうな顔をされた。
「他の部署の方が私に何か用ですか?」
「見てほしい物があるんですけど」
バッグに手を入れると、一枚の封筒を取り出す。
例の脅迫文だ。
「これ、数ヶ月前から送られて来てたんです」
その手紙を見つめた彼女。
一瞬だけど動揺が見えた気がする。
「そうなんですか......どうして、私に?」
「見覚えありませんか?私この手紙で切ってしまって......」
彼女の手を掴むと勢いよく、封筒に近づけた。
「いやっ!」
逃げようとするその手を握り直す。
「離して!」
「大丈夫ですよ。死ぬわけじゃないし」
「知らないわよ!カッターの付いた手紙なんて!!」