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【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......

第56章 僅かな確証


明らかにおかしな点、ずっと疑問に思っていたことがある。
手紙が最初に送られてきたのは、婚約後すぐのことだった。


彼が婚約したと知る可能性があるなら会社関係者か、現場で聞かれて彼が答えた人に限られる。


最もおかしなことは、私達が受け取る手紙は『芸能事務所で確認後の物』だということだ。


今までは、タチの悪いいたずらだと様子を見るように上から指示があった。

心配をかけるだけなので、篤志さんにも相談はしていなかった。


今回は連絡を取ったけど、あちらで確認をした際にはそんなものは入ってなかったそうだ。


そこから、導き出せる答えは内部犯ということ。
でも、手紙にも切手にも指紋や解決に当たる形跡はなかった。


「八方塞がり......」

「本当にね」

声をかけてくれたのは北門さん。
今日はキタコレの仕事に付き添っている。


「なまえもカズも大丈夫?」

「はい、心配かけてごめんなさい......」

「それは違うよ。これは、俺達みんなの問題だからね」

「ありがとうございます......」

「やっぱり、内部犯なんだよね?」

それが分かっていたから、仕事中は一緒に居なくなった。
『側に居たら危険に晒すかもしれない』と言った彼は、私を遠ざけるようになった。


「極めて高い確率でそうだと思います。でも、あれから手紙は届いていませんね」

最後に届いた、カッターの刃が付いた手紙。
あの日から既に数週間が経っていた。


「そうだね......このまま終わればいいんだけど」

「終わらないんじゃない?」

「竜持くん......」

その表情は、深刻そうだ。


「それは、どうして?」

確かに、いたずらにしてはリスクがありすぎる。
あの手紙に何らかの痕跡が残っていたとすれば、立派な傷害事件だ。

内部犯なら外部犯より犯人に辿り着くスピードが速い。
その差は歴然だろう。


「あの箱に手紙を入れた翌日になまえが絆創膏をしてれば、怪我をさせたのは明白.....そもそも、手紙が一番にカズの手に渡らないことは知ってるんじゃないの?」

「つまり、なまえに怪我を負わせた時点で目的は達成。『手段は手紙じゃなくても良くなった』と考えるべきかな」

その考えは最もだと思う。


「よかったです」


「「はっ?」」
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