【B-PROJECT】(完結)あなたの瞳に永遠を誓います
第54章 オオカミさんと赤ずきんちゃん
私はいつも自分の気持ちが優先だよね。
きっとすごく彼に甘えてる。
こんなに、甘やかしてもらったままで良いのかな?
それで『私は彼を大切にしてる』って、胸を張って言えるんだろうか。
暴れるようにうるさい心臓を隠すことなく、その背中に抱きついた。
「あの、あんまり見ないでくださいね?自然を装ってチラッと見る感じでお願いします」
言いながら、タオルを外す。
思いっきり抱きついているので背中に胸が当たってる。
「ふふっ、何それ」
「わ、笑うとこじゃないです」
「あははっ、そうなの?」
「私のペースに合わせてたら......爆発しちゃうかもしれません!」
後ろから回した腕を優しく撫でられる。
「はぁ......本当にごめんね。俺はみょうじさんの純粋さにつけ込んでるんだ......本当に狼かもね」
「え......?」
彼が振り向くと、向かい合わせになる。
「まだ、心の準備が......」
慌ててその胸板に抱きつけば、感じる彼の熱。
「本当にいいの?無理してない?」
「無理してます!」
力強く言い切った私に、彼はきょとんとしている。
自分の行動を思い返すと......顔が熱い。
「『好きなら、合わせられる部分は合わせないと』って言ったことがありましたよね?」
身体は離さないままで、見上げると微笑まれた。
「うん、だから無理しなくていいよ。俺が合わせてあげるから」
「したくないわけじゃないんです!ただ、スタイルが良くないから自信がないだけで......でも、合わせてもらってばかりだと......バチが当たりますね!」
彼は少しぽかんとして、そのまま吹き出した。
「あははっ、俺が神様ならみょうじさんがバチ当たりなことをしても......バチは当てないけど」
ギュッと抱きしめられると更に密着する。
逞しくてドキドキするのに、何故か安心するんだよね。
そういえば......少し前だけど。
「愛染さんも同じようなことを言ってくれました」
「みんなもみょうじさんが大好きだから」
「仕事仲間ですからね!」
「うん......そうだね」
彼は困ったみたいに微笑んで、頭を撫でてくれた。