【B-PROJECT】(完結)あなたの瞳に永遠を誓います
第52章 My one & only Love
「ちょっと、待ってください!」
「なんでも言うこと聞いてくれるんだよね?」
「言いました、言いましたけど!」
目の前には、送り狼さん?
あの後は自宅に帰るなり、壁際に追い詰められていた。
とにかく先にちゃんと話をした方がいいんじゃないかな?
「嫌......なの?」
「嫌じゃないです!!」
聞こえたのは、大きなため息。
「なんでも言うこと聞くなんて、簡単に言ったらだめだよ」
そのまま、身体が離れる。
「えっ、増長さんにしか言いませんよ?」
「どうかな......健十とのキスはどうだった?」
「ど、どう!?」
「俺とのキスより良かった?」
「分かりません!」
勿論、混乱していた。
良いとか悪いとか、なに......?
どうやったら、分かるの?
「嘘でも俺の方が良いって言えばいいのに。本当に嘘がつけないよね。時々、その純粋さが痛いよ......」
困ったように笑った彼は、悲しい顔をしていた。
「実は、鈴木さんとキスしたところを見てしまって......」
「ごめんね......ちゃんと話す気だったのに、健十とのことばかりに腹を立ててずるいね。一方的にされちゃって、警戒心が足りなかった」
「いえ......」
「怒りたいのは、みょうじさんも同じだよね?俺だけ怒るのはずるいね」
「違うんです!」
こんな事言ったら、ますます傷つける。
頭では分かってるけど、ちゃんと話さないといけない。
気持ちを伝えないなら、婚約者になる前と変わらない。
内緒にしたまま......いつか、また拗れる。
「私、怒れないです......」
踏み込むのを恐れて逃げるのは、いつだって私の方だ。
「お似合いだと思ったんです。そんな自分が嫌で、自分に腹が立ったんです」
予想通り彼は傷ついた顔をした。
だめだ、泣きそう......。
「最低、ですよね......ごめんなさい!」
彼の横を通り過ぎると、慌てて部屋から飛び出した。