【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第46章 心地いい時間
増長さんはハンドルに頭を預けて笑っている。
なんで......笑ってるんだろう。
「怒ってるの?」
「お、怒ってます!」
「どうして?」
会話中もくすくす笑われているし、私が怒れば怒るほど笑われてる気がする。
「結果的には大丈夫でしたけど、撮られてたらそれこそ言い逃れできませんよ?」
「うん、その時は言い逃れしません!」
身体に腕を回されるとギュッと抱きしめられた。「はぁ!?」と思わず声が漏れてしまった。
「だ、だめです。して下さい!」
「あれって、誰の為に言い逃れするの?事務所とか他のメンバーとかかな?」
「そうですね。事務所と他のメンバーと......自分の為じゃないですか?そういうことで、人気が落ちないように。」
「それなら、恋人の気持ちは誰が守るの?」
「えっ?」
「もし、そうなったとして俺が否定してみょうじさんは傷つかない?」
傷つかないと言えばきっと嘘になるけど、それは増長さんの立場を守るための嘘だ。
「アイドルを好きな人って恋愛対象で見てる人がいるんですよね。恋愛報道が出て殺傷事件が起きたりがその証拠です。正直その気持ちは全くわかりませんし、ファンとして本当に好きなら、私は幸せになってくれたら純粋に嬉しいですけど。でも増長さんが傷つくくらいなら、否定されても全然いいですよ。」
「それは俺も同じだよ。みょうじさんが傷つくくらいなら、俺が傷つく方がいいよ。」
「だめです!」
「そうだね、わかったよ。一緒にその時考えようね?」
「考えるまでもありません。」
「はいはい、強情なんだから。」
何かが起きる時は彼を守らないといけない。
それは、A&Rの立場としてでも言えることだけど......。
恋人としての立場でも、
守られてるだけじゃ、きっとこの恋は守れない。
不安を隠すみたいにその背中に腕を回した。