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【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......

第43章 愛しい音色


どうして......今まで気付かなかったんだろう。


洞窟で熱に浮かされていたあの夜。
母親の夢を見た。


もしかしたらうなされていたのかもしれない。


そんな時優しい歌声が聞こえてきた。
暉がよく聞いてる曲で歌っている人を思い浮かべたんだ。


そこで目が覚める。
目の前に眠る彼女に思わず笑顔になった。


不思議と驚きはしなかった。


前に剛士に聞いたことがある。


澄空さんでなく彼女をレッスンに付き合わせる理由。


その疑問が同時に解決した事が理由の一つだろう。


きっと何か事情がある。


どうするのが正解だろう?


選択を間違ってしまえば彼女をこのまま失うかもしれない。


そう思うと下手に動けなかった。


一時期から悲しい顔をよく見るようになった。


気付いてあげられるとしたら剛士か俺だけだ。


剛士はMimiの歌を聴けばすぐに彼女だと気づくだろう。


探るような言葉を紡げば傷つく顔をする。


そんな顔が見たいわけじゃないのに......。


近付き始めた俺たちの距離だけど、


彼女の言動に終わりが近いのだと感じた。


「助けて」なんて絶対に言わない。


今までもそうだった。


それも、魅力の一つで大好きなのに


どこか悲しい時もあった。


答えてくれないなら俺はこのままで良い。


内緒にしたまま俺たちの側に居てほしい。


その為なら喜んで知らないフリをする。


そう決意したのに彼女は俺たちの為に最後の切り札を出した。


剛士にバレるのは覚悟の上だろう。


どうにかして彼女を引き止めないといけない。


あの場で腕を掴んだ時、彼女は驚いていた。


俺に歌ってくれたのは無意識だったのかな?


でも本当は俺に対する精一杯のSOSだったのかもしれない。


それがまさか逃げられるなんて......。


そんな奇想天外な所も本当に愛しい。
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