【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第41章 Fake Marriage
「身体は大丈夫?」
心配そうにこちらを見つめる彼に、口元が緩む。
本当に優しいな。
「ありがとうございます。大丈夫です」
安心したように微笑む彼に心臓がうるさい。
ホテルから出て、タクシーに乗り込む。
「よし!戻りましょうか?」
「ふふっ、やる気満々だね」
二人でクスクス笑い合う。
「だって戦場に戻る感じですよ」
「そうなの?」
「増長さん......怒られますよね?」
「うん、勝手なことしたからね」
「本当にごめんなさい!」
慌てて深く頭を下げた。
「いや、むしろ......俺がごめんね」
「私が......!ワガママを言って、連れ去ってもらったことにしましょう?本当の仕掛け人は、私だった的な?」
「みょうじさんが協力してくれたら、そういうことも出来るね。番組を盛り上げる為とか......かな?」
「お願いしてみます!」
「ありがとう」
良かった......笑顔で手を握ってくれた。
「気持ちだけもらっとくね」
えっ......?
「俺は......ちゃんと怒られたいんだ。みょうじさんを連れ去ったのは、正直に行動した結果だから。後悔なんてないよ?誤魔化したり、嘘にしたくないんだ。例え、どんな結果になっても」
彼は本当に素敵な人だ。
見た目は勿論、素敵だけど中身はもっともっと素敵。
そうだよね。
そんな嘘をつくような人じゃない。
そんなこと分かってる。
「そういう所も、本当にすごいですよね。増長さんはこの業界にいても、いつまでも綺麗なままなんだと思います」
「そうかな?」
この先もきっとそうだし......そうであってほしい。
「何にも染まらないで......そのままで居てくださいね?この先も沢山の人を笑顔にして、魅了して、お母さんと再会して、私みたいに幸せな結婚をしてくださいね?」
離れていても、彼の幸せを願いたいな。
それくらい......バチは当たらないよね?
「ありがとう。彼のどんな所が良かったの?」
「一緒に居て気を遣わなくて、自然体で居られる?ふふっ、わがまま放題だったり?」
それは友人として、嘘偽りない言葉だった。
「そっか」
「はい!」
私達はそれ以上の言葉を交わすことはなかった。
そのまま二度目のさよならをしたーー。