【B-PROJECT】(完結)あなたの瞳に永遠を誓います
第41章 Fake Marriage
「そういえば今日は明るくていいの?」
カーテンは、レースの状態で光が漏れている。
階数は最上階に近いから外から見えることはないと思うけど。
「はい、大丈夫です」
今は恥ずかしいよりも、増長さんの姿を目に焼き付けたい。
偶然で巡ってきたこのチャンス......絶対無駄にしたくない。
そっと彼の頬に触れた。
「増長さんは、すごく綺麗ですよね。男の人なのに全然恐くない」
きっとこれが最初で最後だから。
明日になればまた元通り。
今度こそ.....会うことは一生無いだろう。
むしろ長い夢を見てたみたいに魔法は解ける。
だから思い出が欲しかった。
増長さんと出会ったことを、無かったことにしない思い出が。
「ありがとう。みょうじさんの方が、同じ人間だと思えないくらい綺麗だよ」
「ふふっ、殺し文句。さすがアイドル......天職ですね!」
幸せすぎて死にそう。
さっき思ったように彼が死ぬのは嫌だけど、私の時間だけはこのまま止まっちゃえばいいのに。
見つめて、見つめ返してくれて、痛いくらいに視線が絡む。
このまま死ねたら......こんな幸福な死が他にあるのかな?
きっとそれはーー
どんな死よりも、安らかで幸福に満ち足りたものだろう。
『明日なんて......このまま来なければいい』