第41章 Fake Marriage

『鼓動✴︎アンビシャス』


それは初めて聞いた彼らの曲で、出会いの曲だった。

思わず目の前の背中をぎゅっと握る。


あの時と一緒......それ以上だよね。

物凄くキラキラしてる。


「なまえ？」

真司が心配そうにこちらを振り返った。


「ごめん、強く握りすぎた」

見れば、背中にシワが寄りそうなくらい握っていたみたい。

緊張や興奮、嬉しさや戸惑い。

色んな感情が混じり合う。


「お前、興奮しすぎだから......」

「し、してないから！とにかく、なまえって呼ばないで......どうも、葉山 杏奈です」

「はいはい」


『永久パラダイス』


懐かしいな、本当に懐かしい。

今は、番組やBlu-rayを画面にかじりついて見てるくらいだもん。

再びこうして、こんなに近くで彼らの姿を見れるなんて......。


現金だけど今日は、本当に引き受けて良かった。

一生忘れないように目に焼き付けておこう。

なんだか、胸が熱くなって、視界がぼやけた。

泣きそう......。



「「ありがとうございました！」」


ーーパチパチパチパチ

会場に、拍手が巻き起こる。


「サプライズ番組に応募したんだけど、敢えて挙式に呼ぶ俺！」

なんだろう......そのドヤ顔は。


「そんなことより、あの人顔真っ赤だよ？」

視線の先には例の上司の娘さん。


「結局、面食いかよ......」

「まぁ、確かに真司は顔整ってるもんね？学生時代もモテたし」

「それより......あのさ、今日......」


何だろう......。