【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第36章 見つめていたい
「だから、ここから先は別行動だね。」
言いながら、階段を上るアカネ。
「俺だけ逃がしてお前はどうするつもりだ!」
不安そうなモモタロウに微笑むアカネ。
明謙くんすごいな......失敗したら、タダじゃ済まないだろう。
なのに......それを感じさせない。
余裕がある表情。
彼は走り出した。
階段を駆け上っていく。
でも......なんだか、火の回りが早い気がする。
遂に一番上まで階段を登りきった。
空を見上げればヘリが飛んできて、そこからロープはしごが垂れる。
あれに掴まるの!?
ヘリが近づいてきて決意をした目をしたアカネ。
手すりを掴んで飛び乗ると、そこから大ジャンプ。
かなりの距離を飛んでいると思う。
ロープはしごが揺れるタイミングと飛びつくタイミングが合わなければ、そのまま落ちるだろう。
無事に、彼はそれを掴んだ。
その後で、最後の大爆発。
廃工場は爆発した。
すごい......鳥肌が立った。
この脱出シーン、物凄く練習したんだろう。
安易な努力では、成功はしないことが素人でも簡単に見て取れた。
スタントを使わない勇気、不安を見せない演技、成功させるメンタルの強さ。
この作品で明謙くんは、格段に成長したのだと思う。
その彼を見て、周りのメンバーもかなりの刺激を受けただろう。
帰路に着いた私は、号泣だった。
「うっ......ひっ......。よかったあああ!」
見上げれば、呆れ顔の彼。
「アンタね......道の真ん中で泣かれたら、アタシが泣かせてるみたいじゃない!」
「えっ......。」
確かに......。
「失礼しました。」
「分かればいいのよ。」
「それにしても、いい映画でしたね!」
「そうね。アンタは本当にBプロ愛が止まらないわね。」
「夜叉丸さんも似たようなもの......いてっ!」
「うるさいわよ。」
最近、夜叉丸さんが強いような......。
「お腹空きました......。早くお家に帰って美味しいご飯を食べましょう!」
「なまえちゃんの頭の中は、ホントに食べ物のことばっかね。」
「えっ?はい!」
彼らの映画に元気づけられて、また明日から頑張ろう。
私は夜叉丸さんの腕を引いて、
歩き出したーー。