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【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......

第31章 I loved good bye


「さいかいゆうの歌を女優に歌わせたのは、当時の番組プロデューサーだよ」


篤志さんがそう言う。
つばさちゃんのお父さんは、事件に関与していなかった。


「あの頃、僕はスタジオに出入りしてたから覚えてる。だけど、まさか最初に決まっていた歌い手が朔ちゃんの妹だとは知らなかった。ある人から話を聞いて、共通部分があってハッとしたよ」


「夜叉丸さんあの事件は確かに気の毒に思う。その苦しみは当事者にしか分からないだろう。だけど、12年間。そろそろ前を向いた方がいい」


篤志さん......修二さん......。


「前?」

夜叉丸さんが聞き返す。
......様子がおかしい。


その様子を見ていると、突然後ろから腕を掴まれた。
あの時......彼は『何処にも行かないで』と。
私にそう言った。それは、私がMimiだと知っていることを意味している。


「ごめんなさい......」

腕を振ってその腕を振り払った。離れるのを拒むように、ぎゅっと強く抱きしめられる。

「俺達の......ううん、他のことなんてどうでも良い!俺の側に居てほしいんだ!」


どうして気づかれたんだろう?
いつから知ってたんだろう?

歌の実力を知らない人があの音声で気付くのは考えにくい。


私は音域は広い方で男パートと女パートを別人のように歌い分けれるくらいはある。

声は完全に変えてた。
その証拠に他の皆は気づいていないだろう。


「夜叉丸さんの力を必要としている人が沢山いる。」


「ははっ、ハハ、ハハ、ハハッ!」

突如、彼は狂った様に笑い出した。


「この十数年の全てが間違いだった!?ハッハッ、ハハハ......。誰がそんな戯言を信じるか!?」

夜叉丸さんは狂ったように笑い続ける。


「夜叉丸さん!」

彼の腕を掴み引き止めるつばさちゃん。


「絶対許さない!」

夜叉丸さんは彼女の腕を振りほどき走り去ってしまった。



いつも彼は私を見てくれていた。

言わない言葉や想いを......零さず掬い上げてくれる。


「気付いてくれて......ありがとうございます」

「ううん。引き止められて本当に良かった」


安心する声。
後ろを見れば眩しい笑顔。


私は......やっぱり......。
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