【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第30章 近くて遠い
「ある時から歌うのやめてたんです。初めてこのスタジオに来た時に、思わず口ずさんだ自分にびっくりして......。どんな歌手より私の心を動かしたのは、剛士くんの歌でしたよ。」
それは、いつもの屈託の無い笑顔とは違って見えた。
「あの日私を受け入れてくれて、練習に付き合わせてくれて......ありがとうございました。」
「お前、何かあっただろ?」
「何もないですよ?」
「俺に嘘ついたら後からどうなるか......。」
「ふふっ。剛士くん、私を脅すのも上手くなりましたよね?」
「はっ?」
「な、なんでもないです!」
あの時、もっと問い詰めたら良かったのか。
でも、お前はそれを望まないだろう......。
恋だの愛だの興味ねぇ。
そんな感情は、仕事の枷になる。
踏み込むことを恐れて、安全な選択をした。
それでも、こいつのことが大切なのは本当だったーー。