【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第29章 Stay who you are
気づけば彼の手を取っていた。
「ちょっと相談したいことがあるので、来てください!」
「えっ、みょうじさん?」
「カズもいい仕事すると思うよ」
部屋を出る時に竜持くんがウインクしたのが見えた。
手を繋いだままだった。
ロビーのソファーに腰掛けて気づく。
「ごめんなさい!」
慌てて離そうとすると、ギュッと握られてる?
「相談って嘘だよね?」
話す前にばれてる。
「......力不足ですみません。大根でした!」
「ふふっ、大根役者ね。ううん、ありがとう。」
「竜持くんは、増長さんの気持ちを汲んでるみたいでしたね。彼はいろんな事に敏感ですから。」
二人は別の仕事があったので、他の皆とは別の飛行機で来てたはずだ。
「せ、詮索する気持ちはないんです。ごめんなさい。どうか、何も言わないでください!」
事情を知ってる人が、側にいるのは心強いよね。
「ふふっ、なんでそんなに必死なの?気になるなら聞いていいのに。昔ね......俺たちは、方向性は同じだけど倫毘沙の方が華があるって言われてたんだ。」
「えっ?」
「生まれた環境とか才能はどれだけ足掻いたって敵わない。努力じゃ超えられない。最初から決められた運命がこの世界には最初からある。
だんだん距離感が掴めなくなっていって、そうこうしているうちに、グループでデビューが決まった。『二人のキタコレと五人で人気を保ってるMooNsだったら、断然キタコレの方がパワーがある。』って言われたことがあって、存在を否定されたような気持ちになった。
倫毘沙はいつも俺を認めてくれるけど、優位な立場から言われてるような気がして素直になれないんだ。」
「そうだったんですね......。って、何言ってるんですか!?」
「ふふっ、本当に表情がコロコロ変わる。見てて飽きないよね。」
クスクス笑ったその肩を掴んだ。
「どっちが華があるとか、ないとか、そんなの主観でしょ。皆が同じ評価じゃないです。」
「えっ......」
「増長さんはかっこいいし、綺麗です。もう本当に美しい!花や宝石のように美しすぎます!!」
「ありがとう。殺し文句だね?」
「いえ、本心です。」
「ははっ、小悪魔なの?」
「小悪魔!?内面も真面目で努力家で謙虚でとんでもなく素敵です!努力する増長さんはとても素敵です!」
