第20章 Sweet＆Sweet

「「お疲れさまでした」」


「お疲れ」

「お疲れさま」


今日の仕事は終わり。


あの後、例のタレントさんが控え室で落ち込んでいたとつばさちゃんから聞いた。

彼女も一部始終を見ていたそうだ。


「あの、増長さん少しいいですか？」

「澄空さん、どうかした？」

「実はさっきテレビ局でタレントさんと話しているのを聞いてしまって......」

「そうだったんだ」

「チョコレートをいただいていましたよね？」

「そうだけど、何かまずかった？」

「さっき、増長さんが楽屋に戻ったあとあのタレントさん泣きそうな顔をしていたんです」

「彼女は本気でリーダーのことが好きだったんだと思う」


私も、傷つけてしまったよね。


「え......！特に親しかったわけじゃないから思いもよらなくて......」

増長さんを含めてかっこいい皆さんだし、一目惚れされる事は頻繁にあると思うけど......。

「余計なことかと思いましたが、あの方も『エデン・デュ・ショコラ』に出演するのでお知らせしといたほうがいいと思いまして」

「教えてくれてありがとう。彼女に謝らないと」


彼は本当に誠実だと思う。

相手は大手事務所のタレントさんだけど、大丈夫かな？


「とにかく、今日はゆっくり疲れを取ってくださいね？」

「ありがとう。みょうじさんと澄空さんもゆっくり休んでね」