第11章 Take on Me !

彼を見ると、笑ってる......？

これは、完全にからかわれている！


「そういうんじゃないですけど！」

彼の腕を引くと、その身体を抱きしめた。
その肩が跳ねるのが分かる。


「愛染さんは、私なんかには計り知れない程の悲しい思いをしたのだと思います。だからこそ、一時の感情や寂しさを埋めるだけの相手は辞めて欲しいんです。

その後、もっと虚しくなるでしょう？

本当に愛染さんを愛してくれる人なら、ずっと離れません。沢山の愛情で満たしてくれるはずです。私も同じで、好きな人を信じるのは苦手なんです......でも、心から信じれるような人を見つけたいです......」


少しして離れようとするけど、強く抱きしめられていて無理そうだ。


「だから、なまえは鈍いんだか......鋭いんだか」


その声は弱々しくて、泣いているような響きだった。