【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第8章 想いはContraly
暉くんとつばさちゃんが居ない空間。スタッフさん達との食事の席では皆が嘘で事実を隠していて、それは想像した以上の演技だった。
本当に、こんな時でも皆はプロなんだ......。
どうしてだろう......?
これで良いのに......心と身体は別々みたいな、綺麗に取り繕う姿がとても悲しかった。
野目さん......彼を見ると当然元気がない。
「悪い......澄空と交代してくる」
そう言い残すと、素早く席を立って行ってしまった。
「ちょっと......失礼します」
愛染さんに告げて私もその後を追う。すぐにその背中を見つけて駆け寄ろうとしたけどー
「幻の薬草......」
そう呟いた背中はすぐに旅館から出て行ってしまった。
こんな時間にどこへ?外は暗いし危険だ。すぐに追いついてその腕を掴む。
「野目さん、待ってください!戻りましょう?」
「みょうじ......俺、幻の薬草探しに行かないと......」
普段の彼とは違ってかなり取り乱している。
そんなものが本当に......?
期待と不安を抱えたままで、森の中を彼の後に続く。真っ暗な中では懐中電灯の灯りだけが唯一の頼りだ。
その薬草は険しい崖にあるそうで、どれくらい歩いただろう?
立ち止まった彼が崖の一点を照らすと、確かにそこには何かの植物が生えている。
「あれですか?」
暗くてよく見えない......。
「ああ」
「みょうじ、お前はここで待ってろ」
「ちょっと......野目さん!?」
彼は躊躇する事なく崖を降りていく。慌ててそちらを灯すけど、そこは情報にあった通りの険しい崖だ。
「危険です!せめて戻ってロープを持って来ましょう!」
「いや......あと、もう少し......」
その手がそれに届くーー。