【B-PROJECT】(完結)あなたの瞳に永遠を誓います
第80章 全てを知りたい
「あの、ちょっと離れませんか?」
あの後すぐに皆は帰って行った。
きっと、私達に気を遣ってくれたんだと思う。
「無理だよ。これ以上は離れられない......」
これ......以上?
病室のベッドで抱きしめられているけど、
「隙間がないくらい密着してるんですけど?」
病み上がりだし身体が心配だ。
「そういえば、明日にでも退院できるみたいなんだ。甲斐甲斐しくお世話してくれる?泊まりに行ってもいい?」
......爽やかな笑顔で無視された!?
「いいですけど......おうちの方がゆっくり出来ませんか?」
「俺はみょうじさんの側が一番ゆっくりできるよ。触ってもいい?」
え......?
そのまま額に唇が触れる。
「触るのはだめです」
第一、ここ病室だし。
「早くみょうじさんの元に戻って来たって実感したい。いや、でも、無理させたいわけじゃないんだ......だから、今日は側に居てくれる?」
「もちろんです!その気でしたから」
時刻は面会時間も過ぎて、隣には簡易ベッドがあった。
「痛い思いさせてごめんなさい。守ってくれてありがとうございます......お帰りなさい......」
「ただいま。俺が好きでしたことなんだから謝らないで。逆だったとしたら俺、無理かも......みょうじさんに忘れられるとか、考えただけで......だから、ごめんね」
その言葉に慌てて首を振る。
「今日はすごく感動した。付き合えた日もそうだし、婚約した日も全部みょうじさん絡みだね?」
「ふふっ、甘々攻撃は健在ですか?あの、良ければ......キス、しませんか?」
熱くなった顔でそちらを見上げると、ふわりと笑ってくれた。
優しい笑顔も変わらない。
「いいの?」
「はい......」
覆い被さられると頬に大きな手が触れて、そこに自分の手を重ねた。切羽詰まったみたいに、口付けられれば一気に顔が熱を持つ。
優しく触れるだけの口付け。
なんだか、胸がいっぱいになった。
見上げた顔はすごく綺麗で、女なのが恥ずかしいくらい。
「ふふっ、普通のキスで真っ赤。記憶がなくなる前はもっとすごいことしてたのに......」
「ご、語弊がありますからね。変なことはしてないです」