【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第74章 必要な犠牲
私達はホテルの一室に来ていた。
懐かしい......。
そこは、前に夜叉丸さんが彼らと私を連れて来たホテルだった。
荷物を無防備に置く場所は限られている。
シャワーを先に浴びてもらって、データを回収できたら無事に帰れるんだ。
思惑通りに彼を誘導すると、まずは夜叉丸さんに連絡を入れた。
『データ回収してすぐ帰ります』
そのまま、彼のバッグに手をかける。
スマホ......よし、あった。
すぐにホームボタンを押す。
え......パスワード?
今日、操作してた時はそんな様子なかったのに。
彼の誕生日......確か......。
ダメだ。
増長さんみたいに人の誕生日......?
そんなの分からない。
「ゲームオーバーだね」
後ろから聞こえた声。
「君の考えなんて、お見通しだよ」
やっぱり、ばれてた。
シャワーを浴びにいくフリをしただけ。
扉を開く音を確認してバッグに手をかけたのに、
ツメが甘かった......。
「ばれてないと思ってたの?」
最初から警戒されてたんだ。
近づく顔に慌ててギュッと目を閉じたーー。