【B-PROJECT】(完結)あなたの瞳に永遠を誓います
第73章 変わったもの、変わらないもの
ぽすっと後ろから支えられてそちらを見上げると、増長さん......?
扉を開けたのは彼のようだ。
「彼女の撮影を俺達二人の撮影にしてくれませんか?」
今、なんて?
「もちろんよ!やりましょう!!」
即答したけど、どういうこと?
「リーダー、ずるいよ!俺との撮影にしよう!!」
「僕!僕にしてください!!」
「仕事の邪魔をするな」
「お前ら、落ち着け......」
「皆さん、少し落ち着......といいますか、即答ですか?」
目の前にはガッツポーズのヨーコさん。
「当たり前じゃない!こんな美味しい話は中々ないわよ!!顔出しNGの人気歌手が初めて顔出し!共演相手はなんと婚約者の人気アイドル!!」
その目は輝いているけどさすがにそれは困る。
でも、見方を変えればこの機会は絶好のチャンスだよね。
「それなら、私達の婚約は嘘! この記事で婚約の話を無くしてほしいんです!!お願いします!!」
「どういうこと?」
「言葉通り、私達はただの仕事仲間なんです。婚約者同士が望んで共演なんて中々ないですよね?そう考えればこの撮影は、噂を消すチャンスかもしれません!!」
祝ってくれた人達には申し訳ないけど、今私達はあのこと自体を嘘にしたい。
だから、増長さんもこんなことを言い出したんだろう。
その点は、彼と私の考えは同じだと思う。
「えっとー......増長くんも何か条件があるのかしら?」
そちらを見ると不意に目が合った。
「そうですね。彼女の衣装を変えてください」
着替えて一旦スタジオに戻った。
「どうして、顔を出すことにしたの?」
仕事中の私達は、本当に普通で今まで通りだ。
お互いの性格上、感情を隠すのが上手いからだろう。
「応援してくれた人達への、感謝も込めて?きちんと向き合わないのは失礼かと......」
応援してくれる人が居るってすごいことなんだよね。
その人達が居たから今があって、日々感謝している。
「誠実なんだね」
意外な言葉を言われて驚いた。
どういう風の吹き回しなんだろう。男の人に対して不誠実だと思ってるのに。
「どうですかね?でも、これで周りから好き勝手言われることも無くなるので安心ですね!」
「うん、そうだね......」
「撮影に協力してくれて、本当にありがとうございます!」