愛のカタチ~貴方と見る世界~【ONE PIECE】
第1章 プロローグ
リンが12歳の時、リリカはその美しさから、ある天竜人の目に留まった。
「その下々民の女、わちしの妻にするだえ!」
「私には生涯にただ一人、愛した方がいます。その方以外に私を捧げるつもりはありません!」
その瞬間、天竜人の銃口がリリカに向けられた。
たったそれだけのことで。
……パーンッ!!!
「わちしの言うことが聞けないお前、嫌いだえ!もういい、死ぬだえ!」
……パンッ!!
再び、乾いた音が部屋内に響いた。
もう一発、リリカの身体に銃弾が撃ち込まれた。
「……」
ドサリ、と倒れ床に血が広がった。
「行くだえ!」
こんな天竜人の所業が許されていいものか。
断っただけだというのに。
天竜人は神なのか?
まだ僅かに息があったリリカはそんなことを思いながら、クローゼットの中の我が娘が、見つからないようにと願った。
リンはその時、クローゼットの中で気を失っていた。
「何があっても絶対に出てきてはいけない!私が撃たれても、天竜人がいなくなるまで絶対に出てきてはいけない。見つかれば、連れていかれてあなたは人として生きていけなくなるから。」
天竜人が事前に来ることを知ったリリカが、リンに言い聞かせ、クローゼットに隠したからだった。
リンは、母が天竜人に逆らった時点で、撃たれると悟り、母の言いつけを守って必死に息を潜めていたが、銃弾の音で気を失ってしまったのだ。
せめてもの防衛本能だったのだろう。
それが幸いにもリンが天竜人に見つからずに済んだ要因だった。