愛のカタチ~貴方と見る世界~【ONE PIECE】
第4章 船長の気まぐれ
麦わらのルフィが起こした、”天竜人殴打”事件の騒ぎの中で、ローは、奴隷としてオークション会場に連れてこられていたジャンバールを、助けた。
特に理由はない。リンのことも、三日前に酒場で助けたことを思い出し、ベポの懇願もあって、ついでだから助けた。
つまり、二人はローの"気まぐれ"で助けられただけ。
このあとどうするかは本人達が決めることだ。
自分達と一緒に航海がしたいならば、連れていくし、嫌ならどこかの島に立ち寄った時にでも船を降りればいいと思っていた。
ジャンバールは、助けたあの時に、自分の命を預けると言っていたので、降りることはないのだろうが。
(この女には、少し考える時間を与える方がいいか)
ローはこの時はまだ、あの酒場で、彼女のコロコロと変わる表情に、放ってはおけない彼女の行動に、美しい彼女に一瞬にして心を奪われていたことに気づいていなかった。まさかまた会えるとも思っていなかったし、理由なく助けたこの女に抱いた感情が恋心になるとは、この時知りもしなかったのだ。
「お前…名前は?オレはトラファルガー・ローだ。コイツは、ベポ。あと、シャチとペンギンだ。」
自身の名前と隣に立つ白くまと、二人の名前を紹介する。
「私は…リンです。よろしくお願いします。また助けて貰いましたね。ありがとうございます。」
そうお礼を言いながらぺこりと頭を下げた。
「リン。オレ達が海賊なのはわかってるよな?今この非常事態だ、一旦出港するが。」
「ええ。構いません。」
ローの潜水艦はどんどんシャボンディ諸島を離れ、少しずつ海面の中に沈んでいく。
「落ち着くまで暫くここを離れる。オレたちと一緒に来る気ならこのまま船に乗せてやるが。」
「もし、その気がなければどうするんですか?」
とリンは聞き返した。
「落ち着いた頃にシャボンディに返すか、もしくはどこかの島で船を降りてもらう。」
「次にどこかの島に着くまでに何日かかるんですか?」
「1週間くらいだよ。」
横からベポが口を挟んできた。ベポはこの船の優秀な航海士らしい。航海士が言うのだから、確かなのだろう。
「助けて貰っておいて図々しいのですが、シャボンディには、帰るつもりはありません。帰ったところで、また攫われますから…だから、次の島まで乗せてください。」