愛のカタチ~貴方と見る世界~【ONE PIECE】
第3章 オークション
その後、リンは捕えられ男達のアジトに連れてこられていた。
「こんな上玉、売っちまうのもったいねぇなぁ。けど、奴隷として上玉だから高値つくぜ?」
そう男達が話していると、彼らのボスが奥から出てきた。
「おいおい、まさか"商品"に手をつけてねぇだろうなぁ?傷ついてたら、値段が下がっちまうからな。明日まで大事に奥にしまっておけよ!」
────────
次の日。
午後4時から始まるオークション。
その会場に、リンは"商品"として連れてこられていた。
「おぉ、すごい上玉だな。それに、瞳の色も珍しい。」
「これだけの女なら、天竜人に高く買ってもらえるだろう。」
その言葉から、このオークションに"天竜人"が来るのだと分かった。
六年前、自分から母親を奪った"天竜人"は、リンにとっては仇だ。
『天竜人に連れていかれたら、人として生きていけなくなる…』
あの時の母の言葉を思い出し、"天竜人"だけは絶対に嫌!とリンは必死に抵抗するが、殴られ、無理に壊せば爆発する首輪と手錠をかけられてしまう。
リンの瞳から、大粒の涙が頬をつたった。
リンは、商品として順番を待つ間、人魚と同じ牢屋に入れられた。
他の牢屋には白髪のメガネをかけた老人、巨人の男、海賊、踊り子などが、入れられている。
リンは涙を拭い、自分も怖くてたまらないというのに、震えている彼女をなんだか放っておけなくて、見張りの目を盗み、その人魚に話しかけた。
「私はリン。あなたは?」
人魚は、いきなり話しかけられ目を見開いて驚くが、優しい彼女の美しい瞳と笑顔に惹き付けられ、口を開いた。
「私はケイミー。美しい瞳の色をしてるのね。海みたい……」
同じ歳くらいだろう、その人魚はとても可愛らしい笑顔をリンに返してくれた。
オークションに出されるまでの順番を待つ間二人はお互いに気を紛らわすために、見張りの目を盗んで話を続けた。
この時、ローがオークションを見に、この会場に来ていることなんて……ローもまた、リンがまさか商品として、ここにいるとは……お互い思ってもみなかった。