第11章 それぞれの戦い③~雅紀~
ご家族? 翔ちゃんの父親の松本さん?
俺は松本さんにお話を聞かせて下さいと連絡して。翔ちゃんの担当を請け負った事を伝え挨拶もした
翔ちゃんの所に、時間の許す限り顔を出しておられる姿も見掛けている
憔悴仕切った表情の松本さん……
あぁ、翔ちゃんと一緒にご家族も苦しみの中にいたんだ……
──
潤『相葉先生……翔は助け様としたんですよ……なのに……』
松本さんの想いは、翔ちゃんを苦しめた介護施設の事件の隠蔽を公にする事
嘘を付いている施設に、嘘を認めさせ謝罪させ真実を明らかにする事
その想いを知らないで翔ちゃんを救えるはずないんだ。そして俺は、二宮和也くん、櫻井るなさんにも出逢い寄り一層想いを強くしたんだ
──
-みんなの部屋-
病院にて長期間入院生活を送り、生活している子供達がいる。院内学級とは他にレクリエーションの為の部屋。この病院では 『みんなの部屋』と呼んでいて
その部屋に置いてあるピアノを翔ちゃんが弾いて、子供達が 聞くという光景が見られるようになったんだ
入院したての頃の翔ちゃんは 、微かに表情の変化は見られるけど、余り表情を変える事が無かったんだけど
しかし、子供達と過ごしている時の翔ちゃんの表情は全く違ってた
子供達を見つめる瞳が 、とても綺麗で慈愛に満ちていたんだ
それが本来の翔ちゃんの瞳なんだね
子供達は分かっているんだね
仲良くなった子供達に翔ちゃんは、お話を聞かせてとせがまれて
翔『紙芝居を作ってあげる』
って約束して
そんな中、世界情勢が変化してきて……
体調崩すと、一気に症状が悪化してしまう免疫力の弱い子供達……
会うのもリモートでしか出来なくなった子供達
翔ちゃんは、 何かしらの文章をいつもノートに記して過ごしている
その合間でふれあう子供達との交流の中で、 少しずつ精神が安定していった様に感じられて……
──
翔『紙芝居出来たの』
俺にも少しずつ話をしてくれるようになっていたんだ
とても嬉しかった
そして……出来上がった紙芝居と、これまでにノートに記してきた翔ちゃんの訴えたい事を
俺に見せてくれたんだ……
必ず助けてあげると誓ったんだ……
こんな理不尽な事があっていい訳無いもの……