第87章 娘と母
潤「翔、この方が翔の母親の……杉 翔歌さん」
翔歌「翔……さん。今日はお会い出来て嬉しいです」
翔.るな(……)
都合の良い夢見てるんだ
だって……
るな「良かった……翔ちゃんが悲しむ事の無い……幸せになれる人だ……」
るなちゃん……
私とるなちゃんは 、L 字型に設置したソファのパパの左手側のソファに座って
ママはダイニングの椅子座り、少し離れた場所から 見守ってくれている
ママは……皆もだけどマスクをしているから、表情が分かりにくくて……
翔「翔歌さん。ほんの少しだけでいいので、マスクを外してお顔を見せてくれませんか?」
そう言うと翔歌さんはマスクを外してくれて
いつも優しく、私を見つめてくれている瞳は、涙の粒で光っている
『想いの丈を沢山話しなね』
智さんが勇気をくれたから……
翔「翔歌さん。中学卒業の時に、貴女の話を聞いた時に強く思ったのは『私にはママだけだもん……パパは亡くなったるなちゃんのパパだけって……』事でした」
翔歌「ええ。分かるわ」
翔「それと同時に、私を生んでくれた母親に逢いたいという想いもありました。でも『ママに逢いたい』って言ったら、育ててくれたママがどう思うだろう? 『パパが好き』って言ったら、 実のパパがどう思うだろう? とか……沢山悩みました」
翔歌「ええ」
翔「その感情は、つい最近まで抱いていた想いでした。貴女に逢ってみないか? って言われた日に。るなちゃんが『パパにね『守ってやる』『パパって呼んでくれ』って言われて嬉しかった。その時に『私にはパパが二人いて、翔ちゃんにはパパとママが二人ずついるなんて! 凄いと思わない?』言ってくれて……『そうか……私にはパパが二人。ママも二人いるんだ』って思ったら、どこか割り切れ無くて心の中に刺さっていた棘が抜けて……なんて幸せなんだろうって……感じたんです」
翔歌「翔ちゃん」
潤「翔……」
パパは、涙がこみ上げて来たのか……天を仰いでいる。ママは両手で顔を覆って泣いていて
翔歌さんも……泣いてる