第6章 初めての会話
翌日
休日気になって仕方の無い翔ちゃんに逢いに出掛ける事にした
もちろん、相葉ちゃんに断りを入れて
雅紀「……分かった。画面越しで良い?」
って。本音を言えば直に逢いたい
けど我慢だよね。このご時世だもの
-ピアノの部屋-というプレートが付けられた扉の前に佇み呼吸を整えて
病院に付くと、相葉ちゃんというより、主治医の先生がOKしたとの事で
マスクを着ける
等の幾つかの決まりを守るならの条件でさ、逢わせて貰える事になったんだ
弾む心を抑えて
オイラは、ピアノの部屋の扉を軽くノック。返事はなかったけど開けると
♪ ポロン
今日も、ピアノを弾いていた翔ちゃん
気配を感じたのか、翔ちゃんがこっちを見たんだ
智「この前は『初めまして。凄く寂しい曲だね』って言ってゴメンね」
そういうと、オイラは部屋の中に入りきちんと距離を取って、ソファーセットの椅子に気が付いたら座っていたんだ
翔《……》
首をコテっと、オイラから見て右側に傾げてオイラを見つめ、翔ちゃん何か考えてるみたい
翔「絵は得意ですか?」
智「まぁ、好きかな」
翔「犬の絵を描いてみて下さいませんか?」
そんな事言う翔ちゃん
持っていたノートから一枚切り取ると、立ち上がりオイラの方に翔ちゃんが
テーブルの上に紙を置くと
翔「あ、描くもの……」
だから
智「大丈夫。オイラ持っているから」
絵を描くのが趣味なオイラ。良かった。ペンとかいつも持ち歩いていて
サラサラと、軽いタッチでワンちゃんの絵を描いて、ピアノの所に戻っていた翔ちゃんに、今度はオイラが絵をもって近付いて
智「はい。描けたよ。ワンちゃん」
翔「上手ね」
話ししながら、笑顔は無かったんだ。けど、微かに微笑んだんだ翔ちゃん