第10章 光秀の思惑
汗ばんだ肌でぴったりと抱き合う二人。
暫くすると、アヤは再び信長の頬に手をあて口づけてきた。
「明日の朝の慌てふためく貴様が楽しみだな」
こんなに自分から強請ったと知った時のアヤの真っ赤に染まる顔を想像して、信長は顔を緩ませる。
「どうなっても知らんぞ」
そう言って信長は、空が白んでくるまでアヤを抱き続けた。
「酔っていたからではなく、光秀の酒の影響だったか。覚えておらんはずだな」
昨夜の事を思い出し、苦笑しながらアヤの寝顔を撫でる。
「まあ良い、どんな貴様も愛している。今夜こそゆっくり眠れ」
そう言って信長は、アヤの寝顔に優しく口づけを落とした。
その後、光秀が持って来たお酒を大切に棚の中に隠した事を、もちろんアヤは知らない。