第38章 当たり前の日々
朝が来た。
「アヤ、朝だ。起きろ」
大好きな人の声。
でも......
「もう少し寝させて下さい」
信長様から解放されたのはついさっきの事。
少し下の方の空が赤く染まっていたような......
シーツなんて怖くてもう見れない。だって襦袢は凄いことになってたから。襦袢も確認するって言っていたことをすっかり忘れてた。
「だめだ、朝餉はちゃんと食え」
「でも、眠い.......」
話しながらも瞼は重く持ち上がらない。
うー体もだるいしまだ寝たいよー
「起きぬと言うなら、起こすまでだ」
?何言ってるんだろう?
「ん!」
寝ている顎を捉えられて口を塞がれた。
呼吸が出来ないように深く舌を割りこませ、口内を犯す。
「んーんー!」
苦しくて、信長様の肩を押すけど全然意味がない。
苦しくて、永久の眠りについたらどうするの?と思った頃、唇が離され空気が入ってきた。
はぁ、はぁ....
「おはようアヤ」
してやったりと言った顔の信長様を涙で潤んだ目で睨み見る。
「うー、おはようございます」
「早く支度をしろ、皆が待っておるぞ」
くすっと笑いながら私の頭をくしゃっと撫でた。
信長様には本当にかなわない。
支度を済ませ、差し出された信長様の手を取る。
私達の毎朝のルーティン。
だから、明日もあると思ってた。
当たり前の日常だったから、当たり前に続くのだと疑わなかった。
時は戦国、下克上。
罠は、確実に私に迫っていた。