第24章 痕付けの代償
〜次の日〜
「おい、アヤ、今日はいつもより化粧が濃くないか?」
廊下で秀吉さんとバッタリ会って、化粧の濃さに気づかれた。
(顔につけられたキスマース消す為とは言えない)
「あっ、ホント?ちょっと塗りすぎたかな。あはは」
笑いながら誤魔化してその場を去ろうとすると、痕をつけた張本人が向こうから歩いてきた。
「信長様、おはようございます。んっ、その首のアザ、どうされたんですか?」
秀吉さんが目ざとく信長様の首の痕に気づいた。
「ああ、これか。昨夜アヤに激しく抱かれて付けられた」
(なっ!)
「アヤお前、そんなに」
あらぬ想像を色々した顔で秀吉さんが私を見る
「ちがっ、誤解です。秀吉さんっ」
慌てて手をブンブンと振りながら秀吉さんに誤解だと訴えるけど、
「家臣に見られると恥ずかしいゆえ、次は見えぬ所に頼むぞアヤ」
ニィーっとイタズラな笑みを浮かべて、私にトドメの一言を投げて、秀吉さんと歩いて行ってしまった。
その後、私があらぬ噂で皆からからかわれたのは言うまでもなく、二度と痕はつけないと、心に強く誓った。