第55章 こいの恋 澁澤さん
ずきっ···ずきっ···
(痛みが出たか····我慢するか··)
ずきっ···ずきっ··
(我慢出来ない··女を呼ぶ···いややめよう。さっきの今だ)
――――······
ずきっ··ずきっ····
(無理だ···ベルは··届くか···)
ずきっ··!
「うっ···」
がちゃん!
「うっ···あっ····(痛みで意識が消えそうだ)」
ガチャッ···
ペタペタ···
すっ···
「もう大丈夫ですよ澁澤さん···痛み止め飲みましょうね···」
はっ···はぁ
「あま···ね··」
思わず名前を呼ぶ
「痛み止めと水です」
渡された薬を飲み込む。
そして、ゆっくり寝かせ痛みのある傷口の上に手を乗せる。
「きーら、きーら、ひーかーる」
また女の口から出る言葉
静かな屋敷に小さく響く声
痛みもだんだんと和らぐ。
「おーそーらーのほーしーよ」