君の声が聞きたくて 〜Your voice〜【気象系BL】
第24章 tempestoso…
ぐったりとした俺をタオルに包み、寝室に運ぼうとしてふと足を止めた。
「替えのシーツ無かったんだっけ…」
参ったな…、とブツブツ言いながら、俺を抱いたままウロウロとリビングと寝室を行ったり来たりをする翔さん。
完璧に見える翔さんだけど、意外と抜けてるとこ…あるんだよね(笑)
「ね…、俺、どこでも良いから…」
「でも…」
「翔さんと一緒ならどこでも良い」
例え公園のベンチ…は、流石にこの季節は無理だけど、本当に翔さんさえ隣にいてくれるなら、俺はどこでだって眠れる気がするんだ。
「今度ちゃんと替えのシーツ用意しておくから…」
「うん…」
俺をソファに下ろしながら、翔さんが申し訳なさそうに言うから、ついつい意地悪したくなる。
「ねぇ、一緒に買いに行きたい…って言ったら嫌だよね?」
翔さんが絶対に“No”と言わないことを知りながら…
「い、嫌なんて…、とんでもない」
ほらね?(笑)
俺は裸のままの翔さんに抱き着くと、そのままソファの上に二人して寝転がった。
流石に男二人ともなると、どんなに大きなソファでも狭くは感じるけど、翔さんとこうして隙間なくくっついていられるなら…それも悪くない。
「ちょっと待ってて? 掛け布団持ってくるから…」
「うん…」
俺をソファに一人残し、翔さんが寝室へと消える。
すぐ近くにあった体温が急に無くなったせいか、まだ火照りの残っている筈の身体が寒さに震える。
俺は身体を小さく丸めると、俄に重さを感じ始めた瞼を擦った。
オープンからこっち、ろくに休みも取ってない上に、今日は朝早くから動いてるからかな…、凄く眠い。
翔さんと会ったら話そうと思ってたことが、三年分溜まってんのに…
まだまだ話し足りないのに…
もっと沢山話したいのに…
睡魔には勝てないや…
俺は翔さんが戻るのを待ちきれず、瞼を閉じた。
『tempestoso…』ー完ー