君の声が聞きたくて 〜Your voice〜【気象系BL】
第24章 tempestoso…
…と、俺が優位に立てたのはそこまで。
あっという間なな翔さんの手へと渡った主導権で、俺は散々喘がされていた。
それこそお互いの身体が繋がり合う時の、あの身を割くような痛みも薄れるくらいに…
もう恥ずかしさなんて、これぽっちもなかった。
ただただ翔さんの手に、唇に…、まるで身体が記憶していたかのように、ピンポイントで俺を攻め立てて来る腰の動きに、俺はすっかり翻弄されていた。
気付けば、
「もっと…、もっと奥で翔さんを感じさせて…」
なんて自分から強請ったりしてさ…
勿論、俺だってセックスすんのは三年ぶりだし、ましてや男を受け入れる…なんて、あの日以来のことだから、身体は“初めて”に近い状態で…
だからそれが気持ち良いのか、なんて全然分かんなくて…
でも翔さんと繋がってるんだ、って…
漸く俺達は一つになれたんだ、って…
そう思ったら凄く嬉しくて…
だって俺達が最後に身体を繋げた時は、お互い身も心もバラバラで…
ただ悲しいだけのセックスでしかなかった。
あんな寂ししか感じないセックスは、後にも先にもあの時の一回きり…だと思う。
だからこそ、翔さんの腕に抱かれている喜びを…
翔さんを、身体の一番深い場所で包める幸せを…
俺は全身で感じたかった。
そしてそれは翔さんも同じで…
髪や顎の先から落ちる汗に混じって、翔さんの目から流れた雫が俺の頬にポツリと落ちるのを、呼吸さえままならない、徐々に薄れて行く意識の中で見つめていた。
「智…、愛してる…」
何度も何度も、俺の耳元で繰り返し囁かれる声を聞きながら…