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recent〈ONE PIECE〉

第2章 ラッキーガール


 黒い髭と黒い蓬髪、いかにも海賊らしい姿の男。正面にはエース、メルトリリスが座り、三人が囲むキッチンの机にはサッチ特製フルーツのマチェドニア。
「サッチのやつ、男くせぇこの船でこんな洒落たもん出しやがって…」
 口調とは裏腹に、にやにやと人好きのする笑顔で言うのは海賊団の古株ティーチである。エースは目を輝かせながらマチェドニアを貪り、メルトリリスは嬉しそうにグラスを両手で持ち上げ、中にたっぷり詰まるフルーツを見つめた。
「すごい!きれい〜〜!こんなにきれいな食べ物はじめて見たぞ…!」
 メルトリリスがグラス越しにキッチンにいるサッチを見つめ、称賛の言葉を述べると、彼は頬を染めて破顔した。
 さて、何故この面子で、こんなに愛らしいドルチェでもってティータイムに洒落込んでいるのか。原因は2つ。メルトリリスの腕の電々虫の番号、そして悪魔の実である。
 彼女が目を覚ました後、いくらかの会話を経て電々虫の番号は、彼女の兄の番号である可能性が浮上し、すぐに連絡を試みることとなった。しかしながら、電々虫はうんともすんとも言わず、マルコにより「相手側の電々虫に何らかの細工が施されている可能性が高い。恐らく、お前が所持していた電々虫からの発信にのみ、対応するよう細工してあるな。お前の兄貴が一般人でないことは明白だよい。」との考察がなされた。
 そうなると、この妹も一般人でない可能性が考えられるのであり、自分たち白ひげ海賊団とメルトリリス双方の安全の為にも、彼女の所持する悪魔の実の能力を直ちに解明すべきであると判断されたのである。
 そうして、悪魔の実に詳しいティーチが呼ばれ、ここに頓珍漢なティータイムが幕を開けたのであった。
「で、エース隊長、メルトリリスの能力ってのはどんなものか、全く見当がつかねェのか?」
「いや、右手の甲に月と果物を模したタトゥーが入ってる」
 エースはメルトリリスの右手を取り、ティーチに向ける。
「わたし、ギャンブルとくい」
 重ねて彼女が補足する。
「ぜんこうせいけんぼう?なのに、ギャンブルの知識があるのは脳に受傷をした時点以前からやってたか、深層心理や身体が覚えちまう程使ってる知識のどっちかだろうってマルコが言ってたぜ」
「前向性健忘!?そりゃ、嬢ちゃん、大変だな…」
 ティーチもサッチも気の毒そうに彼女を見つめるが、本人はどこ吹く風。
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