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recent〈ONE PIECE〉

第2章 ラッキーガール


 眩しい笑顔ではしゃぐ彼女に、ダイニングにいた全員が天を仰いだ。


「して、ラッキーガールよ、アンタ兄貴に覚えはねェのか?兄貴がいるってことは分かってんだろ?」
 記憶障害、悪魔の実、2つの疑問が解決したところで途中参戦してきたイゾウが問う。
「兄上はね、ふたりいるんだ」
 衝撃の事実である。確かに、はじめから"ひとり"とは言わなかったが。
「名前とか覚えてねェの?」
「あ、タトゥー入れてんじゃねえか?名前っぽいの2つあったろ」
 サッチの問いにエースが答える。エースはメルトリリスの右肩の襟元に手をかけた。
「いや、オイ、まてまてまて!」
 マルコがエースの腕を掴んだ。
「お前今朝何やったか忘れたのかよい…」
 遠い目をするマルコ、途端に赤面するエース。周囲は訝しげにふたりを見ている。
「あー、あの、えっと、メルティ…!ちょっと右肩見せてくンねえか…?」
 挙動が怪しいエースに、何となく、察した一同は「うちの末っ子ってば案外初心だな」、なんぞと呑気に微笑ましく眺めていた。
 メルトリリスはエースの頼みを快諾すると、恥ずかしげもなく右肩を曝け出した。彼女が言うことには「ひとに脱がされるのは恥ずかしいけど、自分で脱ぐのは別にいい」というなんとも心臓に悪い謎理論であった。こいつは本当に、認知機能が非常に高いのだろうか。記憶だけでなく、思考、理解、判断あたりの知的能力も欠落しているんじゃあるまいな。と、誰しもが思った。
 そんなこんなで曝された彼女の右肩には、ハートマークを模したタトゥーと、ふたりの人物の名前が彫りこまれている。が、しかし、今までで1番不可解な文字列が並んでおり、誰のものであろうか、ダイニングにひとつ溜息が溢れた。


〈SB−ロシナンテを忘れるな〉
〈ローを〉

 ダイニングに沈黙が流れる。
「いやいやいや、〈ローを〉どうするって!?」
 真っ先に沈黙を破ったのは、サッチだった。
「すっっっげえ、気になる…」
「新手の焦らしプレイじゃねェか…」
 エースとイゾウも口々にたたみかける。
「そっちも気になるが、SBってのも気になるな。何の略だよい」
「分からねえことは仕方ねえが、仮にこのふたりを兄貴とするなら、今後はどうすんだ」
 謎の文面に気を取られている面々に、ティーチは問う。
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