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イケメン戦国『永遠の花園』

第1章 初恋は突然に/ピックアップ御礼・記念作品




「暑い〜……」


ワームホールで逸(はぐ)れ、
俺とは違う年代に飛ばされてしまった莉菜さんと再会して三月(みつき)が経った。

織田家ゆかりの姫として安土城で暮らす莉菜さん。

戦国時代の生活にまだ馴染むことができず、日々悪戦苦闘してるようだ。

同じ現代人仲間であり戦国ライフの先輩として放っておけない…

そう思った俺は仕事の合間を縫って安土城に忍び込み、頻繁に様子を見に来ていた。


「はぁ、クーラーガンガンの部屋でアイス食べたいな〜…」


6月の終わり。

いつものように天井から部屋にお邪魔すると、普段あまり泣きごとを言わない莉菜さんが珍しく荒れていた。


「あとカレーが食べたい、メロンソーダ飲みたい…」

「その気持ちは良く分かる」


文机に突っ伏している莉菜さんの話を聞き、相槌をうつ。


「そもそも着物が暑過ぎるんだよね。部屋の中でくらいキャミとショートパンツでいたいよ」

「……。 (キャミソールに短パン。俺的にはちょっと目のやり場に困るけど) ーーそうだ、いい方法がある」

「いい方法…?」


俺の案に期待したのか、わずかに顔が上がった。


「その昔、中国の詩人・杜荀鶴が詠んだ詩に"心頭を滅却すれば火もまた涼し"という教」

「佐助くんごめん、それ何だか難しそうでムリっぽい… あー、せめて扇風機が欲しいぃー!」

「扇風機? ちょっと待って、やってみる」


再び嘆き始めた莉菜さんの前で超高速で団扇(うちわ)をあおぎ、風を送る。


「うーーー きもちいい」

「…良かった」


この『忍法・人間扇風機の術』で少しは涼んでもらえるといいけど…

団扇を指に挟んで6個持ちし、風を回転させるイメージでひたすらあおぐ。


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