第1章 初恋は突然に/ピックアップ御礼・記念作品
「はぁ…ーー」
シンと静まり返った天井裏で人知れず大きな溜息をつく。
「……やっと、理解した」
襖が閉められた瞬間、ハッキリと気付いてしまった。
俺も安土軍の皆と同じように莉菜さんを……
…ーーいや、
皆と同じだなんて、その程度でこの膨らみ切った気持ちが収まるわけがない。
君を笑顔にするのは"俺だけ"がいいんだ、本当は。
様々な身の危険から守ってあげるのも。
可愛い悩みやワガママを聞いてあげるのも。
全部俺が………
「…っ」
ヒマワリを持つ手が小刻みに震え出す。
医者にかかるまでもなかったな。
たった今、一連の体調不良の原因が明らかになった。
自己分析の結果、俺は… 莉菜さんに恋をしている。
それも熱烈に。
自覚した途端、莉菜さんが武将達と過ごす姿を想像するだけで身体がバラバラになりそうなほど苦しい。
もし何かのキッカケでその中の一人と恋仲にでもなったら…ーー?
(とても耐えられない)
「……ーーー」
突然、雨が降り出したように心がどんより重くなる。
君が側に居ないと何もかもが暗く見えて…
もう直接渡せそうにないヒマワリを、グッと握りしめた。
………
………