【ONE PIECE】トラファルガー・ローに愛されて。
第5章 生花。
身体を無くした私は、簡単に言えば、魂(中身)だけだった。
私は「生きている身体」を欲した。
空っぽの「死体」なんてモノを、「ヨリシロ」にすることはできなかった。
不完全な私には、同じほどの「憎しみ」を持った人間の器が必要だった。
「身体を…誰か…頂戴…!!」
死んだ者の、空っぽになった身体には、怨念のような執着なんてない。
「憎しみ」なんて残っていない。
汚く死んでも、綺麗に死んでも、私ほどの憎悪を残して死んだ者の身体は見つからなかった。
『お母さんっ!!』
たくさんの「死」に引き寄せられて、器(身体)探しをしていた私の目の前に、シェリルが現れた。
彼女の目の前には、うつ伏せになり、背中を剣に貫かれている母親の姿。
にこやかに微笑みかけているが、瞬間。
彼女に手を伸ばした時――――――、
母親が、海賊に惨殺された。
―待ち焦がれていた、私の器…―