【ONE PIECE】トラファルガー・ローに愛されて。
第5章 生花。
綺麗だった、素晴らしい世界だった。
眩しい太陽に目を細めて、ただただ、胸が高鳴った。
『………っ』
声にできないほど美しくて、心の底から溢れ出す感情に涙して、顔を両手で覆った。
ポロ、ポロ、と流れた熱いモノは、海面に触れ、高価な真珠や宝石になって沈んでいく。
瞬間、胴体を何かが貫いた。
『……あ゛…?』
貫かれたままの、振り返ることができない身体。
口からツゥ―――っ、と垂れている血液は、海水に触れると真っ赤なjewelry(ジュエリー)に変わる。
私はグッと首を捻って、その先を、放心状態で見つめた。
「【海賊狩りの人魚】だ、殺せ」
「海面をそいつの血で染め上げて、宝石を取り上げろ」
『――――――――――ッ』
信じられない、といった表情で大きく目を見開く。
口を開く余裕もなく、私は身体をたくさんの剣で貫かれた。
『――――――――――…』
こんなに眩しくて、色彩豊かで、鮮やかで。
素晴らしい、美しい世界なのに…どうして、なぜ…。
―なぜ、人間は醜いの―