第37章 commit a fault(5)
増「ねぇ…松本くん…覚えてる?高校時代の私の事…」
潤「えっ…いや…悪いけど…」
増「でしょうね…あの頃の私は今と違って太ってて根暗で…クラス中から馬鹿にされてた…けどね、貴方だけは違った…いつも優しくて…」
潤「…えっ?」
俺…彼女と話した記憶はないけど…
増「園芸部だった私は放課後、何時も土いじりばかりしてた…そんな私を皆馬鹿にしてたけど、貴方は私に向かって何時も『大変だね、頑張って』って声を掛けてくれた…」
潤「…あ…」
そう言えば何時も同じ時間に女子生徒が花壇の手入れをしてた…
顔を見た記憶がなかったけど…あれは増木さんだったんだ…
増「嬉しかった…こんな私にも声を掛けてくれる人がいて…それから私は貴方の事が好きだった…」
潤「増木さん…けどこんな事間違ってる…こんな事したって俺は…」
増「…自首…するわ…貴方が望むなら…けどその前に…」
潤「…え?」
立ち上がった彼女は俺に近付いて来て
増「…貴方を永遠に私の物にするわ…」
そう言って俺にナイフを向けてきた
潤「…まっ…!」
俺も立ち上がり後ろに身体を引こうとしたその時、彼女の腕を誰かが掴んでいた
その人物を見ると
「潤っ!大丈夫か!?」
潤「ま…雅紀兄さん」
雅紀兄さんが腕を掴んでナイフを取り上げていた
そしてその後警察官が表れ、彼女を連行していった
潤「雅紀兄さん…何でここに…しかも翔兄さんと智兄さんも…」
智「和也から連絡もらったんだ。それでカウンターの裏から様子を見てた」
潤「…そっか…ありがとう…助かったよ」
翔「…潤…今回の事はお前が気にする事じゃないからな…」
潤「…うん…」
解ってるけど…俺と関わらなきゃ2人は…
そう思わずにはいられない…何ともやるせない悲しい事件だった…