第32章 年の始めに
翔「…なんか懐かしいな…」
智「何が?」
翔「子供の時、必ずお正月は初詣に出掛けて、その帰りに屋台で綿菓子とか買ってもらってさ…」
潤「そういえば俺、買ってもらったたこ焼き、翔兄さんと食べようと思って持って走ったら転んじゃって…そのたこ焼き落として運悪く踏まれちゃって…で、泣いちゃって」
翔「あれ?それ買ってもらったんじゃなくて、お前自分でもらったお年玉で買ったんじゃなかったか?」
潤「あ、そっか。で、見かねた屋台のおじさんが、もう1パックくれたんだ」
気前の良い屋台のおやじだな…
潤「…ん?待てよ…屋台のおじさんじゃないな…」
智「…は?」
翔「そうだ…確かあの時潤は『知らないおじさんが買ってくれた』って言ってて、それ聞いた父さんが潤を連れてその人を探してた…」
潤「…うん…神社の境内をグルグル回って…けど結局見つからなくて…」
そんな話をしていたら
和「…その話…聞いた事あるような…」
翔「…え?」
和也が何かを思い出したような事を言ってきた
和「あ、いえ…昔お父さんが、この神社に来た時に子供が泣いてて訳を聞いたら『お兄ちゃんと食べようと思ってお年玉で買ったのに』って瞑れたたこ焼きを持っていたから、新しく買ってやったって言ってたのを思い出して…」
すると翔くんが驚いた顔をして
翔「…俺達が初詣に来た神社も…ここだよ…」
えっ?じ、じゃあそのおじさんって…
潤「…あの人が…大野さんだったんだ…子供の頃だったから顔もうろ覚えで気づかなかった…」
父ちゃんらしいな…