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透明な約束【名探偵コナン/安室】

第4章 歩み寄る影


柊羽は、梓からたくさん元気をもらい、念願のアーモンドタルトも食べられたことでその日は珍しく気分が上がっていた。

帰りのスーパーでも、自炊用の食材を買い込み、男性___と言ってもおそらく高校生だが___のレジに思い切って並んでみたりした。

(高校生相手じゃ流石にズルいかなぁ。でも、一歩には届かなくても半歩前進くらいの評価はして欲しい。)

別に誰かに評価されている訳でもないし、克服へのマニュアルなんてないのだが、そう思わないと続けられない気がしていた。












買い物は滞りなく完了した。

今日はホワイトソースから手作りでグラタンでも作ろう、と意気込み、意気揚々と自宅へと向かった。







いつもと同じ帰り道。

最初は鼻歌交じりに歩いていたが、なんだか胸騒ぎがして落ち着かない。

誰かに、つけられている?

あの事件のもうひとつの副産物として、人の視線に敏感になったというところもあるから、ただの杞憂かもしれない。

でも、一度気になるとそればかりに頭を支配されてしまう。

万が一に備えて走ろうと思い、いったん立ち止まって深呼吸。

そこから自宅までのそう遠くない距離をダッシュした。













「はぁっ、はぁ……体力、落ちすぎ……」


無事にアパートのエントランスにたどり着くことが出来た。

思いのほか上がってしまった息を整えようと、壁に手をついた。


「…あ。郵便物、すごい溜まってる。」


ちょうど手をついたのがポストで、たまたまそれに気づいた。

そう言えば一週間くらいチェックしていなかったなと思い、ダイヤルを回して中身をごそっと取り出した。
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